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ミッドチルダに突如として正体不明の青い球状物体が飛来していた。たまたま付近を飛行訓練中だったなのはが それの追跡を行っていたのだが、その時彼女の背後から赤い球状物体が飛来、そのまま飲み込まれてしまったのである。 赤い球状物体に飲み込まれてしまったなのはは、そこで不思議な体験をしていた。 「ねえ、誰なの? そこにいるのは…。」 なのはがそう訪ねると、銀色の肌に赤い模様、そして胸部にクリスタル状の物を持った不思議な何者かが現れた。 その姿と佇まいは余りにも異様であり、とても人間とは思えなかった。 「貴方は一体何者なの?」 『君達がM78次元世界と呼ぶ世界の次元人だ。』 「M78次元世界の次元人?」 『そうだ。遠い次元の彼方からベムラーを次元の墓場へ運ぶ途中、ベムラーに逃げ出されて、それを追ってミッドチルダに来た。』 「ベムラー?」 『様々な次元の平和を乱す、悪魔の様な怪獣だ。』 なのはの目の前に現れた何者かは、M78次元世界と呼ばれる世界からやって来た次元人だと言う事が分かった。 M78次元世界と言えば、現在時空管理局が持ち得る最速次元船を持ってしても辿り着くのに約300万年以上の 時間が必要と言うとてつもない遠くに存在する次元である。無論そこに何があるのか、どんな種族が住んでいるのかに 関しては分かり様も無い。しかし、そんな未知の世界から来た次元人と言うのならば、その異様な姿と 佇まいもむしろ違和感は無かった。そして次元人はベムラーなる怪獣を追って、このミッドチルダに やって来てしまったと言うのである。すると、そこで次元人はなのはに対し頭を下げていた。 『申し訳ない事をした高町一等空尉。ベムラーを追ってミッドチルダにやって来た際に誤って 君を巻き込み死なせてしまった。その代わり、私の命を君にあげよう。』 「貴方の命を? 貴方はどうなってしまうの?」 『君と一心同体になるのだ。そしてミッドチルダの平和の為に働きたい。』 やはり赤い球状物体に飲み込まれてしまった時点でなのはは死んでしまっていたのだ。 しかしそれに次元人は責任を感じ、自分自身の命を持ってなのはを蘇生させると言う。 管理世界においてどんな魔法を使っても死者を蘇らせるのは不可能とされるが、 彼…次元人にはその常識を超越した力があると言うのだろうか? すると、そこで彼はなのはに対し小型懐中電灯の様な物を渡していた。 「これは何なの?」 『ベーターカプセル。』 「ベーターカプセル?」 『困った時にこれを使うのだ。そうすると…。』 「そうすると一体どうなってしまうの?」 『ハッハッハッハッハッハッ! 心配する事は無い…。』 こうしてM78次元世界の次元人の力によって死んだと思われたなのはは蘇った。 次元人がなのはと一心同体になる事によってなのはを蘇生させたと言うのは分かるが、 じゃあ次元人がなのはの身体の何処にいるのかに関してはなのはもさっぱりだった。 とは言え、この状況においては次元人に代わってミッドチルダに飛来した青い球状物体=ベムラーを 対処せねばならない。管理世界における生物の常識を超越した怪物…ベムラーは強敵だ。 自身のディバインバスターを連続で当ててもなお決定打に至らない耐久力と、ヴォルテールのそれすら 上回りかねないベムラーの火力は凄まじい。もうダメだと思われたその時、なのはは次元人から 言われた言葉を思い出し、次元人に貰ったベーターカプセルを天に翳し、そのスイッチを押した。 その瞬間であった。ベーターカプセルから放たれた眩い光がなのはの全身を包み込み、 その姿を身長40メートル、体重3万5千トンの次元人のそれへと変えていたのである。 M78次元世界の次元人からその命を託された高町一等空尉はベーターカプセルで次元人に変身した。 マッハ5のスピードで空を飛び、強力なエネルギーであらゆる敵を粉砕する不死身の身体を手に入れたのである。 次元人の力ならばベムラーと互角に戦える。ベムラーも強力であったが、次元人もまたそのベムラーを 掴み投げ飛ばす程の怪力を見せ、最後は腕を十字に組んだ状態から放たれる光線によってトドメを刺した。 この光線はスペシウムなる物質を含んだ強力な光線であり、50万馬力・50万度の出力を誇る。 しかしそれさえミッドチルダそのものにダメージを与えない様にパワーを抑えた状態であり、 その気になれば惑星を破壊してしまう事も容易らしい。 そんな凄まじい力を持った次元人であるが、弱点もあった。何故かミッドチルダと言う環境条件下においては エネルギーの消耗が激しく、本来のそれよりも大きく力が制限されてしまう上に活動時間も数分が限度。 次元人が胸部に持つクリスタル状の物体はカラータイマーと言う名称であり、エネルギーや活動時間に 限界が来ると青から赤に変わって点滅を始める。そしてもしカラータイマーから光が消えた時、 次元人は立ち上がる力を失ってしまうのである。ミッドチルダにおいて致命的なリスクを抱える次元人だが、 それを差し引いても凄まじい力を持ち得る次元人の力は脅威的とも言えるのかもしれない。 次元人に変身している間、なのはは不思議な感覚を感じていた。今の自分が高町なのはであるのか、 この次元人であるのかが自分でも不明瞭で分からない。次元人がなのはと一心同体になっており、 彼の記憶や人格が反映されているのかもしれないが、少なくとも次元人に変身している間においてだけは 自分が高町なのはと言う人間であったと言う事を忘れ、あたかも最初から次元人であった様に感じてしまう。 それがなのはにとって自分でも不思議な事だった。 何はともあれ次元人に変身したなのははベムラーを倒し、そのまま天高く飛び去った様に見せかけて 元の姿に戻り、現場に駆けつけて来ていたフェイト達と何食わぬ顔で合流していた。 「なのは…本当になのはなんだね?」 「当たり前じゃない。私は私だよ。それはそうとフェイトちゃん、あの怪獣はどうなったの?」 「それが私も良く分からなくて、突然銀色の巨人が現れて怪獣を倒してそのまま飛び去ってしまったよ。 それにしてもあの巨人は一体何者だったのだろう。」 フェイトや他の局員も次元人とベムラーの戦いを目の当たりにしていた様だが、余りにも 突拍子も無い事に状況が掴めず誰もが首を傾げていた。しかし、そこでなのははニッコリと微笑んでいた。 「やっぱりあの人が出て来てくれたんだね。」 「あの人? なのは知ってるの?」 「うん。私もあの人に危ない所を助けられたんだよ。」 流石に次元人がなのはと一心同体になったと言う話は出来ない為、とりあえず皆に対しては 次元人に助けられたと言う方向で説明と報告を行っていた。しかし、ここで新たな疑問が浮かぶ。 「じゃあなのはを助けてくれた人の名前は何て言うの?」 「名前なんて無いよ。」 「え? 名無しのゴンベエなんて困るよ。」 「それならリリカルマンって呼ぶのはどうかな?」 「リリカルマン?」 ただ単に『魔法少女リリカルなのは』から『リリカル』を持って来て『マン』を付けて『リリカルマン』とする その場で何となく浮かんだ安直なネーミングであったが、暗黙の内に誰もが大して突っ込みを入れず、 誰もが次元人を『リリカルマン』と呼ぶ様になった。 「でもそのリリカルマンって言うのは何処かに行ってしまったんじゃないかな?」 「何処にも行かないよ。あの赤い玉は彼の次元船だったんだけど、それも爆発しちゃって故郷に 帰れなくなっちゃったんだって。でもその代わりこの世界に留まって平和の為に戦ってくれるって 言ってたんだよ。」 「何にせよなのはが無事で良かったよ。」 こうして何食わぬ顔で今まで通りに普通の人間としての生活に戻って行くなのはであったが、 これが彼女とM78次元世界の次元人=リリカルマンの戦いの日々の始まりでもあった。 ベムラーのミッド襲来を皮切りとして、ミッドやその他管理世界の彼方此方で発生する 『怪獣』と呼ばれる特殊生物群。ヴォルテールや白天王の立場が無くなってしまう程の 凄まじい能力を持った怪獣達は各地で猛威を振るった。ベムラーの襲来が引き金となって 眠っていた彼等を目覚めさせたのか、はたまたミッドや各管理世界において潜み眠っていた 怪獣達に惹かれてベムラーがミッドに襲来したのかは分からない。いずれにしても 怪獣を好き勝手に暴れさせていては、世界そのものの存亡に関わると言う事である。 怪獣の力は凄まじく、現場の局員ではどうにもならず、本来前線に出るべきでは無い 教導隊のなのはですらも前線に出て怪獣と戦わなければならないと言う状況が当たり前になる程にまで 管理局は怪獣の猛威に苦戦を強いられていた。なのは自身もディバインバスターを連続で撃ち当てても 怪獣には効果が薄いケースが多かった。 もうこれ以上はダメだとなのはが判断した時、こっそり物陰に隠れ、隠し持っていたベーターカプセルを点火する。 そうする事によって普段なのはの中で彼女の生命維持を行っている次元人=リリカルマンが姿を現し、 リリカルマンとなったなのはと怪獣の対決に移行すると言うのもまた恒例となっていた。 ちなみになのはは女性であるのだから、リリカルマンでは無くリリカルウーマンと呼称すべきなのかもしれないが、 次元人の姿の方はどう見ても男性である為、結局リリカルマンになってしまう。M78次元世界の次元人に 男女の概念があるのかどうかは不明であるが、彼が本当に男性もしくはそれに準じた存在であったと考えると なのはもちょっと恥ずかしくなってしまっていた。 リリカルマン・様々な戦い
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ホールドベントという声に気付き、すぐにかわす3人。飛んできた方向を見ると、ライダーがいた。 「あいつ…仮面ライダーガイの芝浦淳か!」 そのライダーは芝浦淳。仮面ライダー『ガイ』である。 だが、龍騎の記憶ではガイはヨーヨーを使ったことは無いはず。 そう思っていると、もう一人のライダーが現れた。 「何だ、あいつ…見たことも無いライダーだ…」 そのライダーは全身が緑色で、頭には大きな目のような何かが付いている。 見た目だけならカメレオンを連想しそうな姿だ。 「へー、神崎士郎が言ってた通り、他のライダーの事も色々知ってるみたいだね」 ガイが緑色のライダーと話す。どうやらこの二人は手を組んでいるようだ。 「でもアンタの事は知らないみたいだよ。ベルデの高見沢さん?」 「お前バカだろ?何で知らない相手にわざわざバラしやがんだよ」 「え?別にいいじゃん。名前だけ知られても能力知られてないんなら別に不利にもなんないし」 ガイとベルデが話している最中、ナイトがあることに気付く。 ベルデの声、そして高見沢という名。これで思い浮かんだのはある有名人物だった。 「高見沢…?まさか、高見沢グループ社長の高見沢逸郎か?」 それを聞いたベルデは、驚いた顔でナイトを見る。仮面で顔が隠れているから表情は分からないが。 「ほう、よく分かったな。どうやって理解した?」 「その声とその名前だ。テレビでお前の声は知っていたし、その声で高見沢といったら高見沢逸郎しか思いつかなかった」 「それだけ知られてんのか。そいつぁ嬉しい…なぁ!!」 声とともに『バイオワインダー』と呼ばれるヨーヨーで仕掛ける。今度はかわしきれず、龍騎に当たった。 「ま、待て!俺はライダーと戦う気はないんだ!」 戦意が無いことを必死でアピールする龍騎。 だが、ガイは親指を下に向け、手をいわゆる『地獄に落ちろ』という形にして言い放った。 「あっそ、じゃあ死んでよ」 第八話 『激闘』 『STRIKEVENT』 ガイがアタッチメント『メタルホーン』を装着し、龍騎へと仕掛ける。 『Panzerschild.』 だが、その攻撃はすんでの所で止められた。 シグナムが防御魔法『パンツァーシルト』で道をふさぎ、その隙にガイの懐に飛び込んだからだ。 「何をしている城戸!死にたいのか!」 どうやらシグナムは戦る気満々のようだ。 シグナムとしてもライダーとは戦いたくない。だがミラーワールドで動いているといつ襲われるか分かったものではない。 ならば遭遇したら死なない程度に戦い、ミラーワールドから追い出そう。シグナムはそう考えたのである。 シグナムはガイを蹴り飛ばし、そのまま一騎討ちへと持ち込んだ。 龍騎はそのシグナムの手助けに行こうとするが… 「どこ見てやがる、テメエ等の相手は俺だ!」 バイオワインダーによる遠距離攻撃を受け、そのままナイトと共闘してベルデと戦うことになった。 「どうしたのお姉さん、もう息切れ?」 余裕のガイと比べ、シグナムは多少息切れしている。 というのも、ガイは他のライダーと比べて高めの防御力を持っている。 さらに高い腕力とメタルゲラスの補助もあり、なかなか決定打を与えることが出来ないのだ。 と、その時シグナムが予備カートリッジを装填する。何か策でもあるのか? 「あれ?何かする気?」 そう聞いたとたん、カートリッジをロードし、いつのまにかシュランゲフォルムになっていたレヴァンティンを鞘へと収めた。 だが、ガイもそれを見てむざむざやられはしない。 「ま、いいや。それじゃ、そろそろ死んでよ」 『FINALVENT』 ガイがメタルホーンを持ち、メタルゲラスの肩へと乗る。その直後、もの凄いスピードでシグナムへと突っ込んでいった。 これがガイが持つ最大の必殺技『ヘビープレッシャー』である。 「待っていたぞ…そうやって大技を放ってくるのを!飛竜一閃!」 刹那、シグナムが鞘からレヴァンティンを抜き、中距離用の決め技『飛竜一閃』を放つ。 アドベント・システムの力もあり、ライダーのファイナルベント技を相殺するだけの威力はついている。 そして接触と同時に煙が上がる。 「うーわ、これじゃ周り見えないな」 だが次の瞬間、嫌でも周りが見えるようになると悟った。 シュランゲフォルムとなったレヴァンティンで体を絡めとられていたのだ。 「な、何だこれ!?まさか最初からこれを狙って…!」 「ああ、そうだ」 煙の中からシグナムが現れる。 「私も誰も殺したくは無い。ならばこうやってミラーワールドから追い出すまでだ」 そう言うと鏡の方を向き、 「分かったら」 振りかぶり、 「ミラーワールドから」 思い切り振り、 「出て行け!」 ガイを鏡へと放り投げた。だが、鏡へはまだ距離が足りない。 「レヴァンティン、システム起動だ」 『了解。アドベント・システム、起動します』 システムを起動させ、モンスターデータを実体化させる。 シグナムのシステムにはドラグレッダーのデータが入っていた。 そして不足分の距離をドラグレッダーが吹き飛ばし、ガイをミラーワールドから叩き出した。 ふと、『シュウウゥゥゥ…』といった感じの音に気付く。自らの体が粒子化していっている音だ。 「時間か。城戸、私は先に戻る」 聞こえたかどうかは定かではないが、反応しないところを見ると、聞こえていないのだろう。 それならそれでもいいとばかりに、シグナムはミラーワールドを去った。 一方、龍騎・ナイトvsベルデの方は… 「くっ、あいつどこ行ったんだ!?」 ベルデの持つ透明化のカード『クリアーベント』に苦しめられていた。 見えない相手からの攻撃、さらに攻撃の瞬間にすら姿を現さないから、苦しむのも当然である。 そしてその当のベルデは、物陰から次のカードを装填していた。 『COPYVENT』 ライアの持つものと同名のカード。だが効果は違う。 ライアがコピーできるのは武器のみ、だがベルデは姿までもコピーできるのだ。 そしてコピーベントでシグナムの姿をコピーし、二人に近づく。 「あ、シグナムさん。そっちは終わ…!?」 ベルデが姿とともにコピーした剣、レヴァンティンで斬りかかってきた。 慌ててドラグセイバーで受け止める。そしてその一瞬の隙を突き、ナイトがウイングランサーで思い切り突いた。 「な!?蓮、どういうつもりだよ!」 「あっちをよく見ろ。確かシグナムとか言ったか?あいつはそこでガイと戦っている。 ならばこいつは偽者…大方ベルデが化けたものだろう」 そう言われ、龍騎は指し示された方向を見る。 確かにシグナムとガイが戦って…今決着がついた。 そして飛ばされた方のシグナムを見ると…いない。どういうことか。 『FINALVENT』 こういう事だ。ベルデ最大の大技『デスバニッシュ』を仕掛けるために距離を置いていたのだ。 バイオグリーザの舌で足を縛り、まるで空中ブランコのようにナイトを掴む。 そして高速回転し、空中で止まった。当然頭を下に向けたナイトを掴んだ状態である。 「このまま脳ミソぶち撒けな!」 そしてそのまま地面へと急降下していく。このままだとナイトは死ぬだろう。 だが、龍騎がそれを許さない。 「させるかぁぁぁぁ!!」 『STRIKEVENT』 ドラグクローを呼び出し、昇竜突破を放つ。 その火球は狙い過たず、ベルデの腕をとらえた。腕を負傷し、体勢が崩れる。 その隙を利用し、ナイトが振り払う。何とか頭は打たずに済んだが、それでも体を強打し、気絶している。 そうこうしている間にベルデが立ち上がる。龍騎は身構えるが、 「時間切れか…やめた」 開口一番にそれである。そのまますぐに帰っていった。 肩透かしを食ったような感じだが、確かにベルデが粒子化を始めている。 おそらく龍騎やナイトより先にミラーワールドに来ていたのだろう。 「時間に救われた…かな…」 そう言った龍騎の仮面の下には、安堵の表情が浮かんでいた。 数日後。 「島田さんからここのシュークリームがおいしいって聞いてたからな…」 真司はとある喫茶店の前にいた。 なぜこんな所にいるか、それははやての家に居候していることを大久保に知られ、「たまには土産でも買っていった方がいいんじゃないか?」と言われたからである。 そして土産に何がいいか調べたところ、この店のシュークリームが美味いと聞き、それを買っていくことにしたのである。 意を決し、真司が店に入っていった。店の看板には『翠屋』と書かれている。 「いらっしゃいま…!!」 何という偶然。蓮と手塚がいた。それも二人ともウェイターとして。 「お前ら…もしかしてここで働いてたのか?」 あまりの出来事に、真司も驚きを隠せない。 「ああ、住み込みで午後3時ごろからな。秋山もだ」 話す気がなさそうな蓮に代わり、手塚が答える。 「ただいまー」 と、喫茶店のドアが開き、なのはが入ってくる。 「あれ?なのはちゃん、こんな所でどうしたの?寄り道?」 「え?違うよ。ここは―――」 「ここがなのはの家だ」 「…え!?」 予想だにしなかった出来事にさらに驚く。 「それと、神崎士郎の妹…神崎優衣と言うんだが、知っているか?」 「あ、ああ」 「…その神崎優衣もここで働いている。もっとも、今は買出しで出かけているが」 あまりの超展開に真司の脳がショートしている。 そして、熱暴走寸前の脳からようやくこの言葉を絞り出した。 「…偶然って怖いな」 この場にいた全員が同意したという。 同時刻、どことも知れぬ場所。 黒い長髪の女が倒れている。死んでいるのか?そう思いたくなるほど長い時間、ここで倒れているのだ。 「う…」 どうやら目を覚ましたようだ。もぞもぞと動き出し、起き上がった。 「私は…生きているの?」 言葉から察するに、今まで自分が死んでいたのだと思っていたのだろう。 女の名はプレシア・テスタロッサ。かつて『ジュエルシード』と呼ばれる結晶体で『アルハザード』という地に行き、娘を生き返らせようとした魔導師である。 だが、それも時空管理局、そして『高町なのは』と『フェイト・テスタロッサ』によって失敗、虚数空間へと落ちていったはずである。 「そうだ、アリシア!アリシアはどこ!?」 目覚め、意識もはっきりしてきたところで娘を思い出す。そうだ。自分とともに虚数空間へと落ちたはずだ。 アリシアを探すも、結局見つからない。絶望で途方にくれていた。 そんな彼女の前に、『あの男』が現れたのである。 『絶望しているようだな』 「…誰よ?」 『お前の絶望を取り除けるかもしれない』 「絶望?ジュエルシードも一つしか無い、それじゃアルハザードに行けない。 アリシアを生き返らせる道が立たれたも同然なのよ? それとも、生き返らせる方法があるとでも言うのかしら?」 『ああ』 男は事も無げに言い放つ。すると、その言葉にプレシアの目に希望が満ち始めてきた。 「どういう事?詳しく教えて」 そして男…いや、神崎士郎は話す。ライダーバトルの存在を。 「つまり、そのカードデッキさえあれば、アリシアを生き返らせる道が開けるという事?」 『そうだ。だが、今は13個全てがそれぞれの人間に与えられた後だ』 「…ならどうすればいいのよ?」 『簡単なことだ。他のライダーから奪えばいい』 そして神崎は一枚の紙を渡す。一通り目を通してみると、それは名簿のようだ。 『ライダーの名簿だ。それに載っている人間からカードデッキを奪え』 次回予告 「アリシアを生き返らせる…そのためなら、私は人殺しにもなるわ」 「意外ね。こんなに早く見つかるなんて」 「待っていて、アリシア…」 「やれやれ、神崎士郎も人が悪い」 仮面ライダーリリカル龍騎 第九話『ライダー交代』 戻る 目次へ 次へ
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第一話『戦の始まり』 H14.1.31 PM5 00 路地 その日、佐野満は落ち込んでいた。勤めていた警備員のアルバイトをクビになったからだ。 「クソッ、何なんだよ…何で俺がクビになんなきゃ…」 彼は怒り、そして嘆いていた。これで収入源は無い。自らの生活手段が立たれたも同然なのだから… ライダーの戦いの創始者、神崎士郎が彼の前に現れたのは、正にその時だった。 「落ち込んでいるようだな」 どこからか聞こえた声に気づいた佐野は、辺りを見回す。だが、周りには誰もいない。 気のせいかと思い岐路につこうとしたそのときに気付いた。いなかったはずの場所に神崎が『いた』のだ。 「何だよあんたは。俺は見ての通り落ち込んでるんだよ」 「お前にチャンスを与えに来た」 同日 PM7 00 佐野のアパート 「仮面ライダー、か」 佐野は自分の住むアパートで神崎の言葉を思い返し、受け取った四角形の物体を見ていた。 あの時にカードデッキの事、ミラーワールドの事、そしてライダーの宿命の事を聞いたのだが、今の時点ではどうでもいいように感じられる。 「ま、いいか。今はそんな事より仕事探さないと…」 そう言うと就職情報誌を手に取って読み、そして一件の記事が目に止まる。 『使用人募集』 H14.2.1 AM7 55 大通り なのはは走っていた。寝坊し、遅刻寸前になっているからである。 フェイトやアリサ、すずかは既に学校に到着している。早い話がなのはだけ置いてけぼりにされたのである。 「うう…なんで今日に限って起きられなかったんだろう?」 だがそんなことを言っている場合ではない。今は遅刻しないよう走るべき時だ。 「そこのお前、占ってみないか?」 「占い?…はい、じゃあお願いします」 …哀れにも遅刻決定である。 なのはは占い師の方へと歩いて向かい、近くにあった椅子に腰掛ける。 「それで、未来でも占ってくれるんですか?」 「ああ、それでもいい。俺の占いは当たる」 「凄い自信ですね…じゃあそれでお願いします」 「分かった」 そう言うと占い師は数枚のコインを指で弾く。 コイン占いという奴だろう。占いの中では比較的簡単なものだが、実力はそれこそピンからキリまで…と、話がそれた。 そしてコインが台の上に落ち、そして止まった。 「…どうなんですか?」 「お前、何かと戦っているな?」 言い当てられ、怯むなのは。確かに傀儡兵とも戦っているし、最近は謎の怪物とも戦っている。 「近々その戦いに、ある大きな変化が現れる」 「あの、それってどういう…」 「お前に、危機が訪れるだろう。遅くて1週間、早ければ今日にも」 「…でも、占いなんて信じなければ「俺の占いは当たる」…」 なのはの表情が陰る。 占い師曰く「当たる」占いで危機が訪れると言われれば無理もないだろう。 「ありがとうございました…」 「だが運命は変わらないわけじゃない。むしろ変えるべきものだ」 それを聞き、なのはに笑顔が戻った。 「…そうですよね!」 そう言って去ろうとするが、 「待て。占いの代金1200円だ」 「有料だったんですか?」 「商売だからな」 「…(うう…無駄な出費…)分かりました。どうぞ」 なのはの差し出した代金を受け取る占い師。 「ところで急がなくていいのか?見たところ急ぎのようだったが…」 そう言われてはっとする。 そうだ、今は学校へと行く途中、それも遅刻寸前で急いでいたところだ。 そう気づいたなのはは、大急ぎで学校へと走っていった。それも占い師のところに来た時よりさらに速く。 よく「火事場のバカ力」とか言うが、今のなのははそれを如何なく発揮しているようだ。 もっとも、今の時間はAM8 00であり、今から急いでも遅刻は確定だが… ちなみにこの後彼女は案の定遅刻して先生にこってり絞られるのだが、それはまた別の話。 同日 PM3 40 公園 放課後、なのははいつもの友人とともに今公園にいる。 「占い?」 月村すずかがなのはに問い返す。 「うん。今日大通りで占いをやってもらってたの」 「ははあ、なるほど。つまり遅刻寸前くらいまで寝坊して、急いでる時に占いやってもらってたから遅れたってワケね」 それを聞いたアリサ・バニングスが茶化す。 「う…」 それを聞いて石化し、先生に絞られたことを思い出して沈むなのは。 心なしか、物理的にも沈んでいるように見える。 「…ま、まあまあ。そんなに落ち込まないで」 「そうそう。遅刻の一回や二回ならまだ取り返しがつくって」 いろんな意味で沈んでいるなのはを引き上げるかのように励ます。 やっとの事で持ち直したなのはにフェイトが聞く。 「それで、その占いって何て言ってたの?」 「それは…私に危機が訪れるって」 そう言い終わるか終わらないかのうちに、何かの違和感を感じ取った。 そしてその数秒後、違和感の正体を知ることになる。 「なっ…何あれ!?」 すずかが驚き、声を上げる。 その声に気付き、すずかの見ている方を向くと、その方向にある物…公園の池から怪物が這い出す。 吸盤の付いた触手を持ち、頭に口が付いている。地上で動けるイカとでも言えば分かりやすいだろうか。 一応バクラーケンという名が付いているのだが、それを知ることになるのはもう少し後の事である。 「なのは、あの怪物、もしかして例の…」 「だとしても、今までのと違う…何なの?」 バクラーケンを前にして、なのはとフェイトはあるものを思い浮かべる。 それは、最近現れた人を襲う怪物のことだ。 確かにあの怪物たちは鏡のように姿が映るものから現れ、そして人を鏡に引き込む習性があるから池の水面から出てきても不思議ではない。 だが、今まで出てきたのはヤゴのようなモンスター(シアゴーストと名付けられている)ばかりだったので、てっきりそれくらいしかいないのかと思っていた。 「…アリサちゃんとすずかちゃんは逃げて」 冷静さを取り戻したなのはは赤い宝石を取り出し、アリサとすずかを逃がそうとする。 何を言わんとしたかを察したフェイトも同じく金色の宝石を取り出した。 「逃げて…って、あんたたちまさか!」 「「ここは、私たちで抑えるから」」 なのはとフェイトの声が見事にハモる。 幸いここにはこの四人以外の人がいない。元からいた人たちも既に逃げ散った後だ。 「で、でも、あんた達を置いて行けるわけ…」 「大丈夫、負けないから。レイジングハート・エクセリオン」 「バルディッシュ・アサルト」 「「セットアップ!」」 声とともに二人の服装が変わり、取り出した宝石も武器へと変化した。 戦いが、始まる。 同日 PM3 42 公園 今、実にまずい状況となっている。 「く…強い…!」 傀儡兵やシアゴーストなんかよりもはるかに強い。二人揃って押されている。 さらには煙幕で周りがよく見えないという状況だ。 ここでフェイトはある事を思い出す。 (そうだ、確かこの怪物たちは人を食べることで力を増すんだ) それでこれ程までの力があるということは、相当数の人を食らってきたのだろう。だとしたら到底許すわけにはいかない。 最近海鳴市で行方不明者が増えているのは、おそらくこいつの餌になったからなのだろう。 『Accel Shooter』 『Haken Saber』 同時に攻撃魔法を仕掛けるも、どこにいるか分からず、当てずっぽうだ。 そんなものが当たるはずも無く、バクラーケンの姿を見失う。 そして、占いの通りとなった。煙幕が晴れたとき、バクラーケンが既になのはの後ろにいたのだ… 「あぁぁぁっ!」 触手により、締め上げられるなのは。そして、そのなのはを連れて池の方向へと移動するバクラーケン。 (そうか…占いで言ってた危機って、この事だったんだ…) そんなことを思いながらも抜け出そうと必死にもがくが、なかなか触手が緩まない。 あわやミラーワールドへと引き込まれそうになったが、突如バクラーケンが吹き飛ぶ。その衝撃でなのはも開放される。 解放されたなのはは、何が起こったかを理解した。赤いバイクがバクラーケンを跳ね飛ばしたのだ。 そしてその赤いバイクから、なのはやフェイトがよく知る人物が二人降りてきた。 「なのは!フェイト!」 そのバイクに乗っていた二人、アリサとすずかが二人に駆け寄る。 「二人とも、どうして…」 「置いて行けるわけ無い…って、そう言ったでしょ?」 話を聞くと、二人は公園を出た後で助けを呼びに行っていたそうだ。 そんな暇があるのかと疑問に思うかもしれないが、バクラーケンは既にミラーワールドへと戻っている。 バイクを運転していた男はそれに気付くと、すぐに池の前へと走る。 「お前たちは離れていろ。あれは俺が倒す」 なのはにとって聞き覚えのある声をしている。 「あなた…今朝の占い師さん?無茶です!普通の人が太刀打ちできる相手じゃ…」 「心配するな、ああいうのは俺の専門分野だ」 そう言った占い師は、エイのようなレリーフが刻まれた四角い物体―そう、佐野が昨日もらったカードデッキと同じものだ―を取り出す。 そのカードデッキを池の水面にかざすと、どこからか現れたバックルが占い師の腰に巻きつく。そして… 「変身!」 右手を前にかざしながらそう言い、カードデッキをバックルにはめ込む。すると…彼の姿が変わった。 簡単に言えば、銀色の仮面とピンク色の鎧をつけているような感じだ。 占い師はなのはたちを見てうなずくと、池の水面からミラーワールドへと飛び込んでいった。 彼の名は手塚海之。後に時空管理局によって運命を変えられることとなる仮面ライダー「ライア」である。 次回予告 『FINALVENT』 「あれがモンスター!?」 「時空管理局のクロノ・ハラオウンだ」 「…分かった」 仮面ライダーリリカル龍騎 第二話『仮面ライダー』 戻る 目次へ 次へ
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――歪みのユグドラシルの頂上、其処に一人の魔導師が存在した―― ――その魔導師は神の力を得て、自分の欲望の儘にその力を振るった―― ――だが…どんなに強大な力でも“愛しき者”を手にする事は出来なかった―― 「神とは…思い描いてたほど万能ではなかった…」 ――魔導師は“愛しき者”への思いと共に光の粒子となって消滅した―― リリカルプロファイル 第一話 接触 とある次元世界の森の中、二人の女性が計器を頼りに何かを詮索していた。 一人は霞かがった金髪の女性、もう一人は紫のショートヘアの女性である。 「反応だと、この辺りなんだけど…」 「あれではないのか?」 紫の髪の女性が森の中を指し、その方向には青を基調とした服に、黒いマントを羽織った眼鏡の青年がうつ伏せで倒れていて、 金髪の女性はその青年を見るや否や、誰かと連絡を取る素振りを見せ始めた。 「ドクターは何と言っている、ドゥーエ姉さん?」 ドゥーエと呼ばれた女性によると、ドクターと呼ばれる者は倒れている青年に興味があるらしく、 自分達のアジトに連れてきて欲しいとの事だった。 「という訳で頼んだわよトーレ」 「えっ私がか!?」 「当たり前でしょう、アナタは戦闘型なのだから」 ドゥーエに指で鼻をつつかれた紫の髪の女性トーレは、 渋々と、そして軽々と青年を担ぎ上げ、二人はその場を後にした。 ――暗い闇…青年は考えていた… 何故“愛しき者”は振り向いてくれないのか… “愛しき者”に釣り合う程の力も得たというのに… そして青年は考えた…“愛しき者”が自分の物にならないというのなら… 自分を愛する“愛しき者”を創ればいいのだと―― 「むぅ…此処は一体……」 青年は目を覚まし起き上がる。そこは白いカーテンで周りを囲ったベッドの上で、 カーテンを開けると周りには似たようなベッドが並んでおり、青年は此処が医療室だと理解した。 …自分は確か魂を消滅されたハズ、青年はそう考え始めていたその時、不意に扉が開く音が聞こえ、 青年は思わず音の方向へと目を向ける。 「やっと起きたか」 青年が目を向けた先には、紫の髪の女性トーレが部屋に足を運び入れていて、 彼が目を覚ました事を確認すると、誰かに連絡を取る様子を見せた。 「…ドクターがお前に会いたいと仰っている。付いて来い」 そう青年に告げるとトーレは部屋を出て行く。青年は一人この場に残されたが、 このまま此処にいても仕方がないと考え、ベッドから降りトーレの後を追う事にした。 暗く長い通路を進んだ先、明るく広い部屋に通され、その部屋は至る所に標本などが並んでいた。 どうやら研究室の様子で、その部屋の中心部に二人の人物が立ち並んで作業をしている。 一人は白衣を着た紫の髪の男性、もう一人は紫のロングヘアーの女性で、男性の影のように立っていた。 「ドクター、例の人物を連れて参りました」 「あぁ、ありがとうトーレ、下がっていいよ」 トーレは白衣の男に一礼をすると、そのまま来た道を帰って行く。 そして白衣の男性は振り向き青年に声をかけた。 「やぁ、目覚めはどうだい?」 「…ベッドが悪質だったおかげで、良い目覚めでしたよ」 青年は皮肉が混じった返事を交わす。しかし白衣の男は「それは良かった」と皮肉で返し、 そんなやりとりの中、青年は白衣の男に質問を投げかける。 「いくつか質問をしてもよろしいですか?」 「構わないよ」 「此処はどこです?」 「私のラボだよ」 「どうして此処に?」 「君が森の中で倒れていたからだよ、三日も前の事だが」 森の中?私は確かユグドラシルの頂上にいたはず… まさか…魂が消滅される際に、ここに転移されたのか? 顎に手を当て考え込む青年に、今度は白衣の男が質問を投げかけた。 「此方も質問をしても良いかい?」 「……どうぞ」 「率直に聞こう、君は一体何者なのだね?」 「……質問の意味が分かりかねますが」 「失礼ながら君が眠っている間、君の体を調べさせてもらったよ。安心したまえ何もしてないよ いや…“何も出来なかった”…と言った方が正しいかな」 白衣の男によると、青年の体内にあるリンカーコアの魔力が圧倒的に高いと告げられた。 リンカーコアと言うのは魔法を使うために必要な魔力を生み出す、器官のような物らしい。 「だがそれだけではない!君の体には更に圧倒的な力が眠っている。 私はその力を調べようとしたが、君の体は見たことのない術式で封印されていた。 いや…むしろその術式でその力を制御していると言った方がいいだろう」 青年は少し驚いた。白衣の男にとって自分の力は未知の力の筈、 なのに内に秘めた力を其処まで分析されるとは思っても見なかったからだ。 そして、それと同時に彼の能力と好奇心を高く評価した。 「一体その力は何なのだね?」 「まぁ…愚神の力とでも言っておきましょう」 愚神?それは何かと訪ねてみたものの、青年にうまくはぐらかされてしまい、 白衣の男は一つ咳をして気を取り直し、本来の目的である青年との交渉を始める。 交渉の内容とは自分が立てている計画に青年の力を貸して欲しいという事。 そして、力を借りる代わりに青年の要求をなんでも呑むというものだった。 …青年は少し考えさせて欲しいと背を向け考え始める。 交渉の内容は青年に有利な物なのだが、青年は利用する事は好むも、利用されるのは好まない。 だが、此処で意固地になったところで状況が変わる訳ではない、 今自分がいるこの世界は明らかに自分がいた世界とは異なるのは 白衣の男の口振りから明白、ならばこの世界の事を知る為にも手を組む事は吝かではない それより何より、青年は男の考えている計画に興味を抱いていた。 「まぁいいでしょう、せっかくのお誘いです。協力しましょう」 「では交渉成立と言うことだね、私の名はジェイル・スカリエッティ……君の名前は?」 白衣の男は名を名乗り、右手を差し出す。 「……私の名はレザード、レザード・ヴァレスです」 レザードは不敵な笑みを浮かべながらスカリエッティの手を取った。 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはViVid第1話 魔法少女リリカルなのはViVid第2話 魔法少女リリカルなのはViVid第3話 魔法少女リリカルなのはViVid第4話 魔法少女リリカルなのはViVid第5話 魔法少女リリカルなのはViVid第6話 魔法少女リリカルなのはViVid第7話 魔法少女リリカルなのはViVid第8話
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「はやてちゃん、準備できたよ!」 「分かったで。エビルダイバー!」 はやての指示とともに、エビルダイバーがギガゼールを空中に跳ね上げる。 この瞬間、ギガゼールの消滅が確定した。 「行くよ、レイジングハート!アクセルシューター、シュートォォォォォ!!」 『Accel Shooter.』 無数の魔力弾がギガゼールへと向かっていき、そして当たる。 着弾箇所が一箇所ずつ削られ、着弾のたび穴が開き、最後にはエネルギー光以外何も残らなかった。 片をつけ、アースラへと戻った面々。 クロノを見つけると開口一番、多少の邪悪なオーラを放ちながら、なのはが問い詰めた。 「ク・ロ・ノ・君?何であの装備の使い方教えてくれなかったのかなぁ?」 「いや、聞かずに飛び出していったのは君達だろう」 「…で、でも、それなら念話で教えてくれたって…」 「それなんだが…こちらからのミラーワールドへの念話は通じないようなんだ」 初耳である。ミラーワールドにはジャミングの類でもかかっているのだろうか。 結局自分が悪いということを確認することになり、なのはの精神に多少のダメージができたようだ。 「…まあいい、今から説明する」 そしてクロノはシステムの事について説明を始めた。 モンスターのデータを入れることで、ミラーワールドでの活動が可能、戦闘力の強化、モンスターデータの実体化、モンスターの気配察知が可能だという。 さらに言えば、データ化したモンスターが強ければ強いほど戦闘力の増大も大きくなるようだ。 ただし、本物のモンスターじゃない分戦闘力は劣るし、活動限界もライダーより二分短い7分55秒となっている。 「名前は何ていうの?」 「…ライダーの使うカードから名を取って『アドベント・システム』だ」 「アドベント・システム…」 第四話 『龍の再誕』 「真司…お前何回遅刻してくりゃ気が済むんだよ!」 編集長の大久保大介が真司にコブラツイストを食らわせる。 「痛い痛い痛い!勘弁してくださいよ大久保先輩!」 「『編集長』だって言ってんだろ!」 「あ、そうでした。いだだだだ!」 まあ、OREジャーナルではよくある事。 プルルルル…ガチャ OREジャーナルに電話がかかってくる。電話の呼び出し音を聞き、受話器を取る大久保。 「はいOREジャーナル…お、令子か」 電話の相手はOREジャーナルの記者、桃井令子だったようだ。 『編集長、また行方不明事件です』 「何ぃ?」 『まだ一連の事件と同一のものか分かりませんけど…これから行方不明者の自宅に行ってみます。住所は…』 「ああ、分かった。ああそうだ、真司のヤツ手伝いに行かせっから」 『ええ?城戸君ですか?邪魔になるだけなんですけど…』 「いやいやいや、まあそう言わず仕込んでやってくれって。まだ見習いなんだし、俺の後輩なんだからさ」 昨夜、また一人失踪した。 今回の失踪者の名は榊原耕一。これまでの失踪者と同様、原因や目撃者が見当たらず、部屋も密室、どうして失踪したかが分からないという状態だ。 その榊原のアパートで、真司と令子が合流する。 「令子さん!事件ですか!?場所どこです!?」 現場で大声という、普通ならやらないようなマネをしでかす。 それを見た令子も呆れ果てているようだ。 「…バカ」 「あ、令子さん」 令子の姿を見つけ、駆け寄る真司。 「あのねえ…現場で大声出すなって言ったのもう忘れたの?」 「あ」 忘れていたようだ。 「…すいません」 「この間みたいに私の仕事の邪魔はしないでよ。いい?」 「分かりました」 「じゃあ、城戸君は部屋の中を調べて。許可は取ってあるから」 そう言うと令子は周囲の聞き込みへと向かった。 真司もアパートの管理人室へと行き、鍵を開けてもらう。 「任せてください。必ず真実を突き止めて見せますから」 「頼むよ」 管理人が榊原の部屋の鍵を開け、ドアを開く。 「部屋を片付けようにも、気味が悪くてさぁ」 ドアを開けた瞬間に漂う異質さ。真司が部屋の中を見た時にその正体がはっきりした。 部屋にある姿が映るものすべてが新聞紙で覆われている。 食器棚のガラスや窓まで塞がれ、光も入らない、そんな状態だ。 何か分かるかと思い、食器棚の新聞紙をはがすが…何も無い。 「何でこんな事したんだろ…」 そうして窓に向かって歩く。すると何かが足に当たった。 足元を見ると、何か四角い物体が落ちている。それを拾い上げる真司。 中に何かが入っているのを見つけ、取り出した。『SEAL』と書かれたカードだ。 「あれ?俺、これどこかで…」 その瞬間、真司の頭の中に色々なものが飛び込んできた。 秋山蓮との出会い、ドラグレッダーとの契約、シザースやガイ、王蛇との激闘、手塚との出会いと別れ、そしてオーディンのタイムベント。 そう、真司は今、かつての戦いの記憶を全て取り戻したのである。 それと同時にモンスターの気配を示す金属音。前の戦いと同じなら、クモ型モンスターのディスパイダーが現れるはずだ。 とりあえず取り出したカードをしまい、その気配の発生源へと駆け抜けた。 令子が榊原の部屋に行くと、もう真司はいなかった。 「…もう、戻るなら戻るって言いなさいよ」 とりあえず部屋を後にし、車へと戻る。 そしてこの後、信じられないものを目にすることになった。 「城戸君…?」 見ると真司が令子の車の前に立っている。 近付いて話を聞こうとするが、突如カードデッキを前に突き出す。 すると何も無い空間からバックルが現れ、それが真司の腰に巻きついた。 驚き、目をこすっている令子。 無理もない。普通ならありえないことが目の前で起こったのだから自分の目を疑いたくもなる。 だが、驚きはこれで終わらなかった。 右腕を左上に伸ばし、ポーズをとった真司が「変身!」と叫ぶ。 そしてバックルにカードデッキを装着し、変身して車の窓に消えた。 「何が起こったの…?今のは何?」 目の前の出来事を現実として受け入れられないまま、とにかく自分の車へと歩き出す令子。 車の窓には巨大な蜘蛛と、それと対峙する真司が映っていた。 「手塚さん、もっとスピード出えへんの?」 「無理を言うな。これでもかなりのスピード違反をして走っている」 手塚の赤いバイクに、二人の人影が乗っている。 一人は嘱託魔導師・八神はやて。もう一人は仮面ライダーライア・手塚海之。 先日占ってもらい損ねたシャマルとともに改めて占いに来ていたのだが…今回もまたモンスターの出現で占いが中断されることになった。 いつになったら占ってもらえることやら…失礼、話がそれた。 この3人のうち、ミラーワールドに入れるのははやてと手塚のみという事で、はやてをバイクに乗せてモンスターの出現位置へと移動しているところである。 ちなみに現在の速度は80km/hである。警察がいたら違反切符を切られていただろうが、幸い見つからずに目的地にたどり着けそうだ。 ズシャアアアア…ゴスッ 「ってぇ…」 ライドシューターを持たない真司は、モンスターの前に現れ、そして思い切り滑って近くの車に頭をぶつけた。 やはりタイムベントで時が戻っても、ブランク体でミラーワールドに入ると頭を打つのは変わらないようだ。 「…っと、やっぱりコイツか!」 真司の予想通り、そこにいたモンスターはディスパイダーだ。 ディスパイダーの方も音と声で気付いたのか、真司の方を向く。 「よし…行くぞ!」 そう言うと、カードデッキから一枚のカードを取り出し、バイザーに装填する。 『SWORDVENT』 上空から長剣『ライドセイバー』が落ちてきて、そして地面に突き刺さる。 それを引き抜くと、ディスパイダーへと突っ込んでいった。 もちろん、前のようにただ振り下ろすだけだと折られてしまう。それが分かっていた真司は、ディスパイダーの足の節目を狙う。 ここなら他と比べて脆いだろう、そう考え、ディスパイダーの足の節目に突きを食らわせようとするが… 「…まあ、予想はしてたけどな」 折られた。 ならばと言わんばかりにもう一枚のカードを取り出し、バイザーに装填。 『GUARDVENT』 今度は盾『ライドシールド』が落ちてきて、真司の左腕に納まる。 「だあああああぁぁぁぁぁぁ!!」 武器は無い。ならば取れる戦闘手段は肉弾戦のみ。 ライドシールドを装備して左腕を補強し、渾身のパンチを繰り出す。 ボキィッ 嫌な音、それとともに走る激痛。 おそるおそる痛みの発生源である左腕を見ると…本来ありえない方向に曲がっていた。 「折れたァ!?」 これはさすがに予想外。ついでに言うとライドシールドも真っ二つだ。 とにかく、これで武器は無くなり、格闘戦も通じないことが分かった。 『詰み』という奴であr…いや、まだ取れる手段はあった。 (こうなったら…使うか?封印のカード…) 前の戦いでは使わずに破り捨てたカード『SEAL』。それはモンスターを封印するカードだ。 万策尽きた今、それを使うしか助かる道は無い…そう思われていた。 『ギャオオォォォ…』 …その必要は無くなったようだ。 真司はこの咆哮に聞き覚えがあった。 それは、紅蓮の火龍。 それは、無双龍の名を持つ魔物。 それは、共に戦った相棒。 その咆哮の主は『無双龍ドラグレッダー』。かつて真司と共に戦った龍のモンスターである。 「そうだ…前と同じなら、こいつが俺を狙っててもおかしくないはずだ!」 真司は一度ディスパイダーかと距離をとり、無事な右腕で折れたライドセイバーを投げつけた。 足の一本で弾き返すディスパイダー。しかしそれで隙が出来た…モンスターと契約するには十分な隙が。 この隙に真司は一枚のカードを取り出す。それは佐野がギガゼールと契約した時に使われたものと同じカードだ。 「悪いなドラグレッダー、俺を食おうとしても無駄だよ。」 契約のカード『CONTRACT』をドラグレッダーに向け、契約を結ぶ。 「お前の力を借りるよ。またよろしくな」 光がおさまったとき、真司の姿が変わっていた。 銀の仮面、銀の胸当て、そして紅い鎧を纏う仮面ライダー『龍騎』となったのである。 「仕切り直しだ。いくぞ!」 そう言って一枚のカードを取り出し、ドラグバイザーへと装填しようとする。 だが、ドラグバイザーがあるのは左腕。先ほどの骨折が響き、装填しようとすると痛みが走る。 彼らが現れたのは、まさにその時だった。 『ADVENT』 見覚えのあるモンスターが飛来する。 ピンク色のエイのようなモンスター。それを持っているのは、龍騎の記憶には一人しかいない。 そして、そのモンスターの主が現れる。 「お前…ライアの手塚海之!?」 「俺はお前を知らない…だが、どうやらお前は俺を知っているらしいな」 エイのようなモンスター…いや、エビルダイバーを引きつれ、ライアが現れる。 さらに遅れること数秒、はやてが路地から現れた。 その事で龍騎がさらに驚く。 「はやてちゃん!何でこんな所に…しかも生身でいるんだ!?」 「え…その声、真司君?そのカッコどしたん?」 どうやらこの二人は知り合いのようだ。 龍騎にしたって知り合いが生身でミラーワールドにいたら驚くし、はやてははやてで知り合いがライダーになってミラーワールドにいたら驚くだろう。 「ああ、もう!この際事情の説明は後だ!とにかくコイツを何とかするぞ!」 全員それで納得し、臨戦態勢を取る。 戦闘再開である。 次回予告 「「食らえ!!」」 「他のライダーにも、教えれば止められるかも」 「城戸君、あれはどういう事?」 『戦え…戦え!』 仮面ライダーリリカル龍騎 第五話『龍騎』 戻る 目次へ 次へ
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それにしても……。 「提督、いくら連れの『あの人』がいたからって、あんな無防備なことで良いのかな」 「なのはさん?」 「いえ、ヤン提督って、結構有名な人ですから、色々狙う人たちがいて……」 「へえ、何となく察してはいましたが、……成る程」 相づちをうつクロ。 「だから、本当は護衛の人がついてなきゃいけないんだけど……」 訝しむなのは。 《マスター》 「何、レイジングハート」 《上空から通信です》 「えッ、上から? 誰だろう……」 《マスターもよく知っている存在です。IFFの確認も完了しています》 「……解った、読んでみて」 RHは、その謎の通信文を読み上げた。 〈This is B‐1 Wonder is not verified within radius 200 meters Mission CMPL RTB〉 「……成る程、ね」 「なのはさん?」 「どうやら、頼もしい護衛が、遙か上空にもいたみたいですね」 そうして、なのはは空を見上げ、肩をすくめた。 「ちょっと気まぐれな天かける妖精の女王、『メイヴ』がね」 「へえ、妖精の女王様の加護、ですか。少々気まぐれでも、それは結構頼もしい護衛かも知れませんね……」 そう言って、帽子の鍔をめくりつつ、クロも見上げる。 あの一筋の飛行機雲は、その形を徐々に崩し始めていた――。 「お疲れ様です、深井大尉」 『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』 インターミッション1・CMPL 戻る 目次へ 次へ
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H14.2.1 PM3 57 アースラ艦内 艦橋 「手塚さん、あなたを見込んで一つ頼みたいことがあるんだけど…」 もしかして…予想は付くが一応聞き返す手塚。 「頼みたいこと?…モンスター退治か?」 「分かっているなら話は早いわ。全面的に戦えとまでは言わないけど、なのはさん達が戦っている時には手を貸してあげてほしいの」 手塚としてもモンスターは倒さねばならない。さらに協力者まで得られるとなれば、選択の余地は無しだ。 「…分かった。協力しよう」 笑顔で礼を言うリンディ。ふと、手塚が呟く。 「占いで出ていた『運命を左右する出会い』…この事だったようだな」 同日 PM4 20 アースラ艦内 食堂 「…で、これは何の騒ぎだ?」 食堂に長蛇の列が出来ている。多分アースラの全乗組員の3割くらいはいるだろう。 というかお前ら仕事はどうした。特に今最前列にいるエイミィ。 「あー…さっきなのはが『手塚さんの占いは当たる』って言ってたから…」 「なるほど、そういうことか」 ユーノ・スクライアから話を聞き、納得と同時に呆れるクロノ。 なるほど、確かに最前列でエイミィと話しているのは手塚だ。数枚のコインを持っている…今弾いた。 「そんなに当たるものなのか?」 「手塚さんが言うには『外れたのは片手で数えるほどだけ』だって」 「…それは占いじゃなくて予知じゃないのか?」 「…そう思いたくなる気持ちも分かるけど、あれは占いみたい」 多分あれは予知能力者だ。 そう思いながら、恋愛運を占ってもらっているエイミィを遠い目で見ていた二人だった。 余談だが、当のエイミィはこの日以降、クロノと目が合うと顔を赤くし、多少ぎこちなくなったという。 多分占いで「仲のいい年下の男と結婚する」とでも言われたのだろう。 第三話『新たな力』 H14.2.2 PM2 20 アースラ艦内 研究室 「デッキの解析は済んだか?」 クロノが技術班の班長に聞く。 「ええ、まあ。解析自体は済んでます」 クロノはそう聞くと、ライアのデッキを受け取り手塚の所へと向かった。 解析が済んだのなら早く返しておいたほうがいい。 そうしないとモンスターや他のライダーに襲われた時の対抗手段が無いし、それ抜きでも契約モンスターに契約破棄とみなされて食われる可能性もあるからだ。 アースラでは今、ミラーモンスターへの対抗手段を講じている。 少なくとも今はAAAクラスの魔導師でもシアゴースト数体をやっと倒せる程度でしかない。 その対抗手段のため、ライアのデッキを借りて解析し、それを基にした装備を開発している。 デッキのシステムが分かれば対策も練り様がある。そう考えたのだ。 すでに解析は終わり、残るはそのデータを利用しての装備の開発のみである。 同日 PM3 00 バニングス邸 「失礼します」 佐野が応接間へと入る。そこには既に一人の男性がいた。 何者なのかは分からない。だがここにいる以上、この家の関係者なのだろう。 何者だろう…佐野がそう考えていると、ふいに男の方が口を開く。 「君が佐野満君だね?」 「あ、はい。えっと…」 「ああ、私はデビッド・バニングス。アリサの父だ」 …アリサの父?それを聞いて脳をフル回転させる。 その結果、アリサの父=ここの主=雇い主という図式が佐野の脳内で完成した。 そんな様子に気付かないのか、佐野を椅子に座らせ、デビッドは話を始める。 「娘から話は聞いたよ。確か鏡の中の怪物と戦う仮面ライダーということだが」 この話をこうも簡単に信じている。 普通なら狂人などのように思われかねない、そんな荒唐無稽な話だというのに。 「なぜ信じたか疑問に思っているようだね?」 「ええ、まあ。こんな荒唐無稽な話、普通ならライダーかそれを見た人しか信じないでしょうから」 「確かに、私も最初は疑った。だが、アリサがそんな事で嘘をつく必要も無いだろう? それに、ここ最近起こっているという行方不明事件も怪物の仕業なら納得がいく」 驚いた。ずいぶん柔軟な思考が出来る人物のようだ。 まあ、だからこそ実業家として成功したのだろうが。 「そこで、君に頼みたいことがある」 「…頼みたいこと…ですか?」 「そうだ。モンスターがいるのなら、今回のようにいつアリサが危険にさらされてもおかしくはない。 だから、もしもの時はアリサを守ってやってくれ…この通りだ」 頭を下げるデビッド。驚いた佐野は慌てて頭を上げるよう言う。 「分かりました、任せてくださいよ。娘さんは俺がお守りしますから」 「そうか、ありがとう」 用事はこれで終わりだったようで、佐野とデビッドがともにに退室する。 ちなみに次の給料日に驚くような高額の給料が払われることになるのだが、それはまた別の話。 おそらくアリサを守る分の追加報酬も合わせた金額だろう。 H14.2.5 PM1.30 大通り ここはどうやら占い師が多く現れるらしい。占いをしている人たちがそこかしこに点在している。 手塚もそのうちの一人だった。今も客の女性の占いをしている。 「あまり良いとはいえないな。だが、立ち止まるよりは進む方がいい」 一人分の占いを終え、そろそろ昼食を取ろうと席を立とうとする。 「手塚海之さんやな?」 声に気付き、顔を上げる手塚。見ると、茶髪の少女と金髪の女性が目の前に立っている。 初対面なのに名を知っている、何者だろう。そう思っているのが分かったのか、茶髪の少女が名乗る。 「ああ、そんな身構えんでええよ。私は八神はやて。こっちはシャマル。 なのはちゃん達から話は聞いとったからな、手塚さんのことも知ってるんや」 「…なるほどな、管理局がらみの人間か」 うなずき、同意を示すはやて。 「手塚さん、腕のいい占い師やて聞いとるからな。私らも占ってくれへん?」 管理局がらみの人間がいきなり何の用かとも思ったが、何のことはない。ただ客として来ただけだったようだ。 それを理解した手塚は代金を受け取り、コインを取り出す。 そして、いつものようにコインを弾く。宙を舞ったコインは回転しながら落ちてきて、やがて止まった。 「…どうだったんですか?」 はやてに代わり、シャマルが結果を聞く。 「次に何かと戦うとき、八神、お前は新たな力を得られるだろう…そう出ている」 「…何か?何かって何なん?」 「それは出ていないが…思い当たる節はあるんじゃないのか?」 そう聞かれ、考え込むはやて。だが、それはすぐ中断されることとなる。 キィィィィン…キィィィィン… 手塚が金属音のようなものを感じ取る。それと同時に路地へと駆け出した。 はやてとシャマルが気付き、手塚を追う。 「どうしたんですか?」 「モンスターの事は知っているだろう?そのモンスターが現れたんだ!」 カードデッキを持っていると、モンスターの気配を音として感じ取れるようになる。 そう、先ほどの金属音はモンスターの気配だ。 同日 PM1 36 路地 先ほど手塚の占いを受けた女性が歩いている。 モンスターは人気の無い場所によく現れるが、そうならモンスターがここで現れても不思議ではない。 女性もその気配を感じ取るが、カードデッキが無いため音ではなく違和感でしかない。 足を止め、周りを見渡すが、特に何も見つからな…いや、ガラスに映っていないはずのモンスターが映っていた。 それに気付き、逃げる。逃げる。逃げる。 だが相手は高い機動力を持つレイヨウ型のメガゼールとギガゼール、それとオメガゼールだ。すぐに追いつかれ、捕まってしまう。 そしてミラーワールドに引き込まれかけるが、駆けつけた手塚がモンスターをミラーワールドに叩き返した。 「八神、その人を連れて逃げろ!」 そしてはやてとシャマルが女性を連れ、路地から離れる。 三人が逃げたことを確認すると、すぐさまライアへと変身し、ミラーワールドへと飛び込んだ。 同日 同時刻 アースラ艦内 艦橋 一方アースラ。 「モンスター二体の出現を確認!現在手塚さんが一人で戦っています!」 エイミィの報告を受け、すぐに指示を出すリンディ。 なのはとフェイトは技術班から改修型のデバイスを受け取り、すぐに出撃しようとするが、 「二人ともちょっと待て」 クロノに呼び止められる。何だろうと思い、なのはが聞き返す。 「どうしたの?クロノ君」 「なのは、フェイト、これを持っていけ」 そう言ってクロノが取り出したのは、青く光る小さな玉だった。 受け取ったはいいが、これが何なのかが分からない。そのことでフェイトが問う。 「これは?」 「対ミラーワールド用の追加装備だ。これならミラーワールドでの粒子化も防げるし、モンスターやライダー相手でもまともに戦えるはずだ」 それを聞き、クロノに礼を言う二人。 「礼なら技術班に言ってくれ。彼らが急ピッチで作業を進めてくれたからこれだけ早く完成したんだからな」 そして技術班に礼を言うと、転移装置で現場へと向かう。 「で、使い方だが…って、もう行ったのか」 使い方を説明する間もなく行ってしまった二人に呆れるクロノ。 仕方ないとばかりに念話を試みようとするが、そこであることを思い出す。 「…しまった、リインフォースを忘れていた」 数十秒後、クロノがリインフォースと追加装備を持って転移装置に向かう姿が目撃された。 同日 PM1 40 ミラーワールド ライアは今、二体のモンスターを相手に戦っていた。 最初にいた三体のうちの一体、メガゼールを仕留めることには成功したものの、それで残るカードはアドベントとコピーベントのみ。 しかもコピーできる武器も無いので実質使えるカードはアドベントのみ。 ライアは苦戦を強いられていたが、諦めずエビルウィップでモンズターを叩き続けた。 だが、ギガゼールに気を取られていた隙に、オメガゼールが背後から襲い掛かる。 手塚が後ろを向いたときにはもう間合いに来ていて、杖を振り下ろそうとしていた。 『Divine buster. Extension.』 次の瞬間、轟音とともにオメガゼールが消え失せる。それと同時に空から落ちてくる薬莢。 その理由を理解したライアとギガゼールは空を見る。 するとそこには、レイジングハートを構えたなのはとバルディッシュを構えたフェイトがいた。 「凄い…こんなに強化されたんだ…」 そう、その理由とは、なのはの攻撃魔法『ディバインバスター』がオメガゼールに叩き込まれたからである。 …なのはには分かっていないようだが、デバイスの強化はあくまで防御面。この攻撃力は追加装備によるものだ。 「お前達…どうやってミラーワールドに入ったんだ?」 その場に残っているギガゼールの相手をしながら、ライアが問う。 「こういう時のための追加装備を、お兄ちゃんから受け取ったの」 追加装備?聞き慣れない言葉に首をかしげるライア。 その隙を突いてオメガゼールとギガゼールが仕掛けるが、逆にかわされ同士討ちをする羽目に。 「詳しいことは終わってから話すから、今はモンスターを!」 「ほな、私も混ぜてくれへん?」 突然聞き覚えがある、しかしミラーワールドにいるはずが無い人間の声がした。 声がした方を見ると、騎士甲冑を纏ったはやてがいる。 「はやてちゃん!?リインフォースは整備中だったんじゃ…」 「クロノ君が届けてくれたんや。 ちょうどモンスターも出てるみたいやったし、これのテストも兼ねてな」 そう言って取り出したのは、なのは達が使っている追加装備と同じものだった…どうやらまだテストしてなかったらしい。 まあ、粒子化していないということと、前とは桁違いの破壊力から、ミラーワールドでの活動と戦闘力の強化は成功しているようだが。 「とにかく、今はあれを何とかするぞ。話はそれからだ」 ライアの一言と同時に戦闘が再開される。 それと同時にフェイトがオメガゼールを斬りつけた。高機動形態『ソニックフォーム』で突撃を仕掛けたのである。 その時にできた隙を狙い、エビルウィップを叩き込むライア。 さらに蹴り倒してさらなる隙を作り、一枚のカードをバイザーに装填した。 『ADVENT』 エビルダイバーが飛来し、エビルフィンでの斬撃を見舞う。 「バルディッシュ、ハーケンフォーム」 『Yes,sir.Load cartridge,Haken form.』 バルディッシュが変形を始める。その姿は先ほどまでの斧ではなく、魔力の刃を持つ鎌となった。 これがバルディッシュの格闘戦特化形態『ハーケンフォーム』である。 大鎌を振りかざし、凄まじい速度で接近するフェイト。そして… 『Haken slash.』 「やぁぁぁぁっ!」 一閃。オメガゼールが両断され、そのまま爆散した。 その頃、なのはとはやてはギガゼールと戦っていた。 「リイン、あれを使うで」 『了解です、マイスター。アドベント・システム、起動!』 アドベント・システム?聞き覚えの無い単語に首をかしげるなのは。さっきもライアが同じようなことをしたが気にしない。 杖の先に魔力が集まり、そこから何かが現れる。 現れたのはエビルダイバーだった。 「ええ!?それ手塚さんの契約モンスターじゃ…」 ライアの方を見る。エビルダイバーがすでに呼び出されていた。 ならばなのはの目の前にいるこれは何だ?エビルダイバーがもう一体いるとでも言うのだろうか。 「何や、クロノ君から聞いてへんかったん?」 なのはは追加装備…いや、『アドベント・システム』の詳細を知らない。もっとも、詳細を聞かずに出撃したからだが… とにかく、今はそれはどうでもいい。そのシステムでエビルダイバーがもう一体現れたのは確かだから。 「まあええわ。なのはちゃん、私らがモンスターの気を引く。その間に砲撃の準備しといて」 そう言うと、はやてがエビルダイバーとともにギガゼールへと向かっていく。 時間もあまり残っていない。だから一回の魔法で仕留める必要がある。 それを理解しているのかいないのか、なのはが予備弾をポケットから取り出そうとする。が、一発も入っていない。 「…レイジングハート、カートリッジはあと何発残ってる?」 『残弾は四発です』 「その四発を全部ロードして。それでアクセルシューターを使うよ」 『All right.』 ドンッドンッドンッドンッ! 残弾四発が全てロードされる。それと同時に魔力弾がなのはの前に作り出される。 魔力弾はどんどん増え続け、最終的にはもの凄い数になった。ざっと50は超えている。 「はやてちゃん、準備できたよ!」 「分かったで。エビルダイバー!」 はやての指示とともに、エビルダイバーがギガゼールを空中に跳ね上げる。 この瞬間、ギガゼールの消滅が確定した。 「行くよ、レイジングハート!アクセルシューター、シュートォォォォォ!!」 『Accel Shooter.』 無数の魔力弾がギガゼールへと向かっていき、そして当たる。 着弾箇所が一箇所ずつ削られ、着弾のたび穴が開き、最後にはエネルギー光以外何も残らなかった。 エネルギー光はこの後、手塚のエビルダイバーがおいしくいただきました。 次回予告 「アドベント・システム…」 「あれ?俺、これどこかで…」 「折れたァ!?」 「お前…ライアの手塚海之!?」 仮面ライダーリリカル龍騎 第四話『龍の再誕』 戻る 目次へ 次へ
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